2008年6月6日金曜日

Milton Brown & His Brownies


これは、イギリスのProperから出ている4枚組のボックス。1930年代半ばのヴィンテージ録音106曲が収録されており、これだけでも戦前のウエスタンスウィングにかんする貴重な情報といえるかもしれません。
彼のことを知ったのは、比較的最近のことで、ブルース・シンガー、ロバート・ジョンソンのダラス録音のとき、その前後にウエスタンスウィングのアーティストが録音していたことに興味を持ってから。

京都HOTDISCから、最近購入しました。

彼について、詳しいことはまだよく分からないのですが、とにかくこのボックスはめちゃくちゃ楽しい。

Disc One の26曲目、Down by The O-H-I-O は、たしかWashboard Rhythm Kingsもやっていたなぁ。

Jazz,Blues, Jive, Hilbily なんでもありで、しかもパッチワーク的な散漫さは皆無。

Bob Willsもそうだったけど、1930年代、テキサス(とくにダラス)の白人演奏家は、貪欲にさまざまな音楽を吸収して自分のものにしていた。

その本家がMilton Brownだったのでしょうか?

テキサスの音楽に特有の、音の明快さも、このボックスからよく伝わってきます。

2008年3月12日水曜日

QUEEN OF HITS







ACRCD228

この日記もすっかりさぼってて、なんとかしなければと思いつつ月日がたってしまった。

わたしは、別のブログで「テックスメックスのご案内」を運営しており、どうしてもそっちに重点がおかれ、こちらは、そのストレス解消くらいのつもりで始めたのですが、心を入れ変え、こちらもきちんとしたブログににていきたいと思います。

と前置きはこのくらいにして本題。

このCDは2003年、英国アクロバットというレーベルから出たリイシューもの。ヒューストンにあるマーシーというレーベルのシングル集です。Hot Disc店主にお教えいただき、購入しました。

マーシーといえばすぐに思い浮かべるのがいうまでもなくクラレンス・ガーローの"Bon Ton Roula"をはじめとする一連の歴史的録音。

1970年代から80年代にかけてクラレンス・ガーローは英国盤でリイシューが進み、日本でもそれほど多くはなかったけど注目されました。

1980年頃、サンフランシスコブルースフェスティバルにクラレンス・ガーローが出演したのに驚いたのも懐かしい思い出。

たしか、ボントンウエストのアイスキューブたちが動いて彼を担ぎだしたんだと思うけど定かではありません。

わたし個人としても、この記事を、多分ブラックミュージックレビューで読んで知り、猛烈に米国に行きたい気持ちが強くなっていったように覚えています。

結局1986年4月、ニューオリンズ・ジャズ・アンド・ヘリテッジ・フェスティバルでわたしの思いは実現したのですが、肝心のクラレンス・ガーローは歌はほとんど歌えず、オレンジ色のストラトキャスターはまぶしかったけど、ほとんど満足に弾けず、かろうじて、有名なギターインスト「ホンキートンク」をクリフトン・シェニエのバンドをバックに演奏し、早々にステージを降りてしまいました。

充分な演奏はできなかったとはいえ、からだもがっちりして元気そうな印象を受けましたが、同年7月に亡くなってしまいました。(クリフトン・シェニエも確か翌年には亡くなったと記憶します)

そんなわけで個人的に思い出多いクラレンス・ガーロー。やはり近年も英国でリイシューが行われていました。

今回はMercyというレーベルにスポットをあてたリイシューで、クラレンス・ガーローは27曲中4曲が収められています。


初期のザディコということもできる曲で、じわっと湿り気があり、さらにぬめねめとした感じもする"Bon Ton Roula"、いま思うと亡くなる直前のライブで、彼はこの曲を弾きたかったんじゃないかと思わせる"Boogie Mood"。

蛇足になるが、ずいぶん前に、亡くなったドラマ−の知り合いが、よくわたしに「まだ、ぬめねめしたザディコ、聞いてるの」といっていたのを思い出した。

他の2曲("Blues as You Like It". "Jump for Joy")も改めて聞いてみると独特の乗りというかグルーブ感があり、やはり聞いてて心地よい。

彼以外のアーティストでは、6曲入っているレスター・ウイリアムスが魅力的。いずれの演奏も落ち着いていて、快適な乗りの曲でも安心して聞けます。

これ以上は書かないけど、ほかの曲もみんなかなり面白い。Link Davisに通じる、ジャンルとかカテゴリーが混沌として、1940年代後半新しい音楽が生まれつつなるな、と想像力をかきたてさせるコンピュレーション、と、このCDを評価したいと思います。